バセドウ病(甲状腺)眼症の手術(眼窩減圧術)の話_手術まで
2016/09/14
2011年の初めにバセドウ病眼症の手術を受けました。
だいぶ前の話になりますが、先日、甲状腺摘出の記事を書いたこともあって、古い記憶を掘り起こしつつ記録程度に書いてみます。
だいぶ前といっても、未だに眼周りに多少の違和感を感じることもあるんです。(それくらい大きな手術だったんだなあと実感します。)
バセドウ病は2004年頃に発症して、メルカゾールでコントロールがうまくいったり、いかなかったりを繰り返していました。2008年頃がバセドウ病のピークのひどさだったかもしれない。眼の症状も顕著になったのがそれくらいの時期です。
もともとクッキリした二重の私は、眼症にはすぐには気がつかなかった。小学校の頃のあだ名、デメキンですから!ひどいよね(笑)
よく言われているような典型的な、ギョロッとした目つきになりました(...というか気が付いたらなっていた感じです)。人から指摘されるようになったのもこの頃です。
眼症に悩むみなさんは似たような気持ちになっているんじゃないかな、と思うんですが...写真に取られるのが嫌になったり、ハツラツとした表情が出来なくなったり(眼が強調されてしまうから)。私はメガネをかけるので誤魔化せるかとおもいきや、眼とレンズの距離が近くなるから、メガネが汚れやすかったり曇りやすかったり。年頃の自分にとっては、本当に自信喪失していました。この頃はバセドウ病の症状も辛く、眼のことも憂鬱になっていましたね。
この時期に知人から紹介されたこともあって、バセドウ病の治療は地元の総合病院での受診をやめて東京の伊藤病院に行ってみました(流石に愛知からの通院は難しいので、それ以降は分院にあたる愛知の大須診療所に通院したわけですが)。伊藤病院の提携眼科でMRIをしたときには、すでに眼症は慢性期だったようです。
日本眼科学会のサイトにこんな記述がありました。
甲状腺眼症の急性期をとらえることは口で言うほど簡単ではありません。一つには医師側が甲状腺眼症を疑って患者さんを診察しなければ、急性期の甲状腺眼症を見逃してしまいやすいということ、もう一つは患者さんの多くは、ある程度時間が経ってから(慢性期)目の異常に気づき来院されることが多いからです。急性期の甲状腺眼症の治療の主体は、ステロイド(副腎皮質ホルモン)の全身投与です。その目的は、眼窩部の炎症の沈静化と甲状腺眼症の活動を抑え込むことにあります。そのためステロイド治療は、すでに慢性化した目の症状にはあまり効果がありません。ステロイドの投与法としては目の訴えが軽い場合は内服でよいのですが、症状の強い場合や内服で治療効果の乏しい場合は大量点滴療法(パルス療法)を行います。ステロイド治療の効果としては、まぶたの腫れや赤みがなくなり、目の奥の痛みが消えます。また目を動かす筋肉の炎症がおさまってくると、目の動きが良くなり複視の範囲が狭まってきます。パルス療法の後は内服になりますが、急激な減量や投薬の中止は眼症の再燃につながるため注意を要します。
ステロイド治療を勧められた方もいると聞いていたので、なぜ自分はそれを勧められたことがなかったのか...と思っていたのですが、すでに処置を施すのには遅かったことですね。慢性期になってしまった眼症の根本的な治療(治療というより、突出した眼をどうするか)は、手術だとは聞いていました。ただ、とにかくバセドウ病が治まっててくれないとどうしようもありません。
この病気はストレスと密接な関係性があるのだなと、本当に実感しています。このころは仕事のストレスが大きかった。とても忙しかったし、責任ある地位にいました。複雑な気持ちでしたが、2009年の終わりに思い切って仕事をやめたことが良かったんでしょう。翌年くらいから、メルカゾールでの治療でやっとホルモンや抗体の数値が安定した状態が続いて、ようやく眼の手術を視野に入れることができました。
それからは甲状腺の方はメルカゾールで治療しながら、眼の手術の病院を紹介してもらいました。愛知県ではとても有名な先生です。
初めての診察のとき目の突出具合を計測したんですが、「自分の経験の中でも5本の指に入るくらいの飛び出してるな〜」って、明るくおっしゃっていました(笑)不思議と自分に悲壮感はなくなって、笑ってしまいました。「これだけ出ていると、手術すると随分変わると思うよ。」って言ってもらえて、手術が楽しみになりました。本当に人柄も素晴らしい先生です。
2011年の初めに手術の日程が決まったとき、本当はその年の3月に結婚式を予定ていたのを、先生から「顔全体の腫れや見た目が落ち着くのに3カ月はかかると思う」と言われたので、5月にずらしました(周りには迷惑をかけたけど...)。そういう事情もあって、本来なら片眼ずつ手術するところ(全員がその手順とは限りませんが)を、両眼同時に手術することに。人生初の手術を、思いの外不安なく迎えられたのは、先生たちと家族のおかげなのは間違いありません。
手術編に続きます。
※2016.09.14追記
手術編公開しました
バセドウ病(甲状腺)眼症の手術(眼窩減圧術)の話_手術編