バセドウ病にタバコはだめなのか
バセドウ病に喫煙が良くないという話を聞きますが、なぜ禁煙しないといけないのでしょうか。
私もおおよそ10年以上の愛煙家でした。が、やめました。
きっかけとしては、甲状腺眼症がとてもひどかったことですが、正直なところ禁煙した方がいいと言われてからも、なかなか禁煙には至らなかった。マールボロメンソールを1日一箱程度だった量を、ニコチン0.1mg?の細いやつを1日3本くらいまでは減らしていました。でも、それを止めるまでは出来なかったです。さすがタバコの中毒性、というところでしょうか。
そんな私でも止めることができたのは、眼症の手術が衝撃的で、本当にきついものだったからです。手術については以下の記事を参考にしていただきたいと思います。
バセドウ病(甲状腺)眼症の手術(眼窩減圧術)の話_手術まで
バセドウ病(甲状腺)眼症の手術(眼窩減圧術)の話_手術編
バセドウ病(甲状腺)眼症の手術(眼窩減圧術)の話_手術のあと
この手術を2度と経験したくないという強い気持ちで、手術後、自然と吸いたいとも思わなくなりました。また、"タバコさえ吸っていなければここまでせずに済んだかもしれない"という、後悔という後悔をあまり感じてこなかった鈍感な自分でさえ、タバコに関しては後悔しています。ただ、"吸いたいとも思わない"と言う割には、止めてから半年くらいは「あ、タバコ吸っちゃった!」などと、しょうもない夢にうなされたり(笑)、依存の恐ろしさを知るのです。それから5年以上が経過して完全に禁煙は成功したのですが、世の中で良く言われている”元喫煙者が喫煙者に一番厳しい状態”に、もれなく陥っているのであります。(止めた人にはわかるはず。少しの臭いもゆるせない。笑)
さて、バセドウ病には喫煙は良くないということに話を戻すと、大まかに、バセドウ病発症のリスク、バセドウ病治療への妨げ、甲状腺眼症の悪化があげられます。
こちらの記事を読んでいるということは、すでにバセドウ病に悩んでいる人でしょうから、バセドウ病発症のリスクについては”時すでに遅し”かもしれない(もちろん私もそうだった)し、病気や健康へのリスクを並べられてもやめられないのが依存症です。バセドウ病に関わらず、喫煙は多くの病気に深く関わっているのは周知の通りです。
一応書いておくと、バセドウ病の発症リスクは非喫煙者の1.1〜3倍だと言われています。タバコに含まれる化学物質が免疫系の何らかの反応を引き起こすのだろうということで、完全には分かっていないようです。とりあえず何かが何かに影響していないと、この約2倍という数字にはならないでしょうから、今現在バセドウ病などの甲状腺の異常がない人で、親族にそれらの要素を持っている人がいるならば、リスクを避けるために吸わない方が賢明と言えるでしょうね。また、自分の子どもや親族には、もともと吸わないこと(もしくは禁煙)をすすめたい(幸い、私の親族に喫煙者は今は誰もいないのですが)。
発症に関係したり、治療の妨げには”チオシアネート”という物質(シアン化合物が変化したもの)が関わっているようです。タバコの煙に含まれている”チオシアネート”には、正常なヨードの取り込みを妨げる作用があります。ヨード(ヨウ素)は甲状腺ホルモンの主原料なので、バセドウ病に関わらず甲状腺全般に影響してきます。また、バセドウ病の治療で使われる抗甲状腺剤の効果の妨げになるとも言われていて、適切な治療に繋がらずに、治療を長引かせることもあるようです。それは困ります。更に、再燃のリスクも高いのだとか。わかってはいたけど、全くいいことがないですね。よく吸っていたなと今では思いますけど、こうやって言われても...成分って目に見えないし、そもそもバセドウ病で体調が悪いですから、どこにどう悪影響があるんだと思ってしまうかも。
最後に甲状腺眼症への悪影響についてですが、既知のとおり、ニコチンには血管を収縮させる作用があります。タバコを吸うと、血管が収縮するので眼の奥の血流も悪くなります。そうすると眼窩部に炎症に関わる物質が集まって、眼症を悪化させるといわれています。今現在吸わない、血管の収縮をさせないことが重要とのことで、過去の喫煙歴は関係なく、今まさに止めればいいわけです。また、現時点で眼症の兆候がなかったとしても、いつ眼症が出現するとも限らないので吸わない方がいいです。
手術まで止めれなかった自分が言うのも説得力には欠けますが(別に説得するつもりで書いているわけでもないですけども)、先述のバセドウ病の治療の妨げとは違って、眼症は見た目がずいぶん変化してしまうので、できる限り最低限の症状でとどめれたらそれに越したことはない、と経験者は思います。眼症は発症するのも、悪化するのもつらいんです。
ここまで書いて、「いや待て待て、ストレス問題はどうなる。」と思うのですが...。
確かにストレスもバセドウ病には良くないと言われていますよね。禁煙するということはストレスがかかります。禁煙のストレスで血管収縮するんじゃないのかと。それは、そうかもしれない。タバコを吸わない人だってバセドウ病になるわけだし、禁煙して治るわけじゃないじゃないかと。確かにそうかもしれない。
そうかもしれないけど、やっぱり止めた方がいいんでしょうね。禁煙を押しつけるわけではないけど、この病気にはやっぱり悪影響があるということは分かっています。多分、吸っている人自身が一番分かっているから悩めるところなのではないでしょうか。
今回、バセドウ病と喫煙の関係について調べてみたものの、残念ながら、詳しい話がなかなか見当たらなかったです。詳しい話といっても、こちらも一般人の理解力しか持ち合わせていないので、難しい言葉で説明してもらっても分からないですが、何の成分がどこにどのように作用するのかくらいのことは解明されていくのでしょうか。新しい情報が入り次第、更新していく所存であります。
「んじゃ、もうやめるしかないわいな。」と一人でも思えるような情報が出てくることを望みます。実に身勝手なことですけども(禁煙に成功した身としては)、"タバコの臭いが苦手でしかたない"のです。
参考書籍
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